マウスピース矯正の認知度は上がっているものの、小中学生くらいのお子さんの矯正となると、やはりブラケット矯正が主流です。
実際に娘のぴいこ(小3)はブラケット矯正をしていますし、矯正をしている周りの子どもたちもブラケットばかり。子どもはマウスピース矯正ができないのでしょうか?
今回は「子どものマウスピース矯正」について書いていきます。
「子どもと言っても、もう大きいんだけど…」という方にも読んでいただきたいです!
✅子どもの矯正を検討している
✅できるだけ子どもの負担にならない矯正がいい
✅子どもにマウスピース矯正をさせたい
なぜ子どもの多くがブラケット矯正なの?
マウスピース矯正が世間に認知されるようにはなってきていますが、まだまだ「歯列矯正=ブラケット矯正」が一般的です。
そのため“子どもの矯正にブラケットを用いることが多い”というよりも、“矯正にはブラケットを用いる”ことの方が一般的なのです。
それに加えてマウスピース矯正は歴史が浅く、不確定要素が多いのも事実です。成長期の子どもの矯正となると、従来のブラケット矯正の方が安心できるのは納得でしょう。
その他、考えられる理由には以下のようなものがあります。
年齢制限にひっかかる
マウスピース矯正の多くは、ティーンエイジャー以上を対象としています。そもそも小学生以下を対象としていないのです。
その理由の一つとして、マウスピース矯正は原則として、永久歯が生えそろっていることが条件だったりします。
マウスピース矯正は、現在の歯並びから理想の歯並びになるまで、歯の動きを予測したうえでマウスピースを製作します。それを1〜2週間ごとに新しいものに交換していき、最終マウスピースをつけ終わったら完了(その後保定)という流れです。
しかし乳歯が混在していると、途中で歯が生え変わります。つまりマウスピースをその都度作り直さなくてはならず、歯の予測を立てることができません。
そのため生え変わり時期である成長期の子どもには、マウスピース矯正ができないことが多いのです。
多いだけであって、できないわけではありません。
マウスピース矯正で有名なインビラザインは、インビザラインファーストという6歳から可能なマウスピース矯正を取り扱っていたり、キレイラインにも子どもを対象としたキレイラインKIDSを展開していたりしています。
気になる方は、取り扱いのあるクリニックで矯正相談をされてみてください。
その他、小児矯正でプレオルソというマウスピース装置もあります。ただこちらは歯列矯正の一期矯正にあたるものですから、その後二期治療でブラケット矯正をすることがあります。
自己管理が難しい
以上のように子どもでもできるマウスピース矯正はあるのですが、このブログでも散々お伝えしている通り、マウスピース矯正には自己管理能力が必須です。
家にいるときだけ着用するものであれば、比較的親の目が届くのでいいのですが、たとえばインビザラインファーストは1日20〜22時間着用しなければなりません。
ぴいこママは1日22時間着用していますが、はっきり言って大人でも難しいです。
なにより歯並びがどうだとか、将来を見越せない子どもにとって、矯正の重要度を理解してもらうことなんてほぼ不可能。
大人は自分で強い意志をもって始めますが、子どもの矯正はそれとは違います。親が「早いうちの方がいいから」と子どもに勧めるケースが多いので、子どもにしてみれば「親に言われたからやっている」だけ。
そのスタートでモチベーションを維持するのは難しいでしょう(そもそも最初からモチベーションなんて無い子も多数いそうです)。
マウスピースの着用時間が短いと、歯が思い通りに動いてくれないので、単純に治療期間が長くなります。長くなれば長くなるほど子どもにとっては負担が大きくなりますので、そこも加味して検討しましょう。
娘のぴいこは、取り外しができないブラケット矯正です。調整の際の痛みがでたり、歯磨きを丁寧に行わなければならなかったり、マウスピースとは違ったデメリットがありますが、装置が外せないぶん確実に歯が動いてくれます。
子どもの意思に関係なく、一度装置をつけてしまえば、治療が終わるまで(きれいに歯が並ぶまで)もっていけるのです。
小さい子どもの場合は、ブラケット矯正の方が確実性が高いです。
子どものマウスピース矯正のメリット
以上を踏まえたうえで、やっぱり子どもにもマウスピース矯正を検討したいという人もいると思います。
ここでは二期矯正でブラケット矯正に移行するプレオルソではなく、インビザラインやキレイラインといった、マウスピース矯正ブランドの小児版を対象として記述します。
痛みが少ない
マウスピース矯正はブラケット矯正に比べて、痛みが少ないと言われています。
ぴいこはブラケット矯正なので毎月1回調整に通っているのですが、調整後は2〜3日歯が痛そうで、食事はできるだけ噛みやすいものを食べさせています。
対してぴいこママはマウスピース矯正で、2週間に一度マウスピースを交換しています。
新しいマウスピースは歯の形が合わないので、交換して2日くらいは取り外して少し痛みがでますが、大した痛みではありません。(マウスピースを始めた最初の3日ほどはめちゃくちゃ痛かったですが)
ブラケット矯正は毎月痛みとの戦いがあるので、それを見る親も心苦しいものです。マウスピース矯正にはない大変さですね。
金属アレルギーでも矯正できる
マウスピース矯正で一番メリットの大きいのは、これではないでしょうか。お子さんが金属アレルギーをもっている場合、マウスピース矯正という選択肢がでてきます。
ブラケット矯正は通常ニッケル、コバルト、クロムといった金属を使用します。対してマウスピース矯正は金属を使用しませんので安心です。
もちろんブラケット矯正でもセラミックをしようするなど、金属以外の素材を用いて行うことも可能です。
金属アレルギーかどうか、またアレルギーの度合いなどは、実際に矯正歯科で検査しているところもあるので相談してみてください。
装置が目立たない
歯列矯正をする子どもは増えていますので、歯に装置がついていることでどうということはない…というのがぴいこママの本音ではありますが。装置がついているのを見られるのが嫌だというお子さんも、マウスピース矯正は選択肢の一つとなります。
ただマウスピース矯正をしているぴいこママからすると…食事前後にトイレに席を立って歯磨きをして…っていう生活は、意外とストレスです。私の場合、普段は家こもっているため外食時のみで済みますが、子どもの場合は学校があるのでほぼ毎日。
マウスピース矯正をしていることはクラスのお友だちにはわかっていてもらわないと何かと苦労するので、矯正を周知の事実にするのであれば、ブラケット矯正をして通常通り生活する方がラクじゃないかなと思います。
子どものマウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正は自己管理が大切なので、ここが子どもにとって大きなデメリットとなります。そして管理をさせる親からしても、デメリットとなります。
装着時間を守らなければならない
マウスピース矯正は、装着時間が決まっています。歯は常に動いているので、マウスピースで長時間固定させていたいのです。
しかし子どもの場合、その時間管理が難しい。家にいる間であれば親の目があるので守りやすいですが、一歩外に出ると子どもの自由です。
友だちと遊ぶとなると、おやつもセットです。おやつを食べずにいられればいいのですが、おやつを食べるとなるとその後の歯磨きが必要になります。
外で遊ぶなら歯磨きはどこでするのか…そのままマウスピース装着を忘れることも…まぁ少しくらいいいや…なんて容易に想像ができてしまいます。
また、マウスピースを紛失するリスクを秘めているのも子どもです。マウスピースをなくしてしまうと、もちろん作り直しが必要になります。
マウスピースを作りに行くのも、作るのにかかる時間も費用も、全部親にとって負担になります。
口腔内とマウスピースを清潔に保つ必要がある
マウスピースは取り外しができるので、食べるものに制約がありません。ブラケット矯正のように歯磨きのしづらさもないので、一見虫歯リスクが少ないように思えます。
しかし実際には、マウスピースをつけているため、歯の自浄作用のある唾液の恩恵を預かることができません。そのためマウスピース着用前には、丁寧な歯磨きが必要不可欠です。
歯磨きがきれいに行われていないと、マウスピース自体にも汚れが付着したり着色汚れの原因になります。
なにより、マウスピース矯正中に虫歯になると、虫歯の治療が優先となるので治療を行うことで歯の形が変わってしまいます。つまりマウスピースを作り直さなければならなくなるのです。
マウスピースの作成には時間を要するため、治療期間が長くなります。矯正の契約内容によっては、再作成費を支払わなければならなくなることも。こうなると親子で負担が大きくなります。
口腔内もマウスピースも清潔な状態を保たなければなりませんから、子どもに任せっきりにせず、親もこまめにチェックする必要がでてくるでしょう。
適用ができない症例がある
マウスピース矯正はブラケット矯正ほど、適用範囲が広くありません。そのため歯並びの状態によっては、マウスピース矯正をお断りされる可能性も。
これは大人も同様で、複雑な歯の動きを伴うようなケースになるとブラケット矯正をオススメされる可能性があることを念頭においておきましょう。
高校生以上はマウスピース矯正もあり?
お子さんが高校生以上で、矯正を検討しているという方もいらっしゃるかと思います。そこまで大きくなれば、自己管理もできそうです。
ただ治療費を親がだすのか、子どもがアルバイトなどでお金を稼いで治療を行うのかでは、結果が大きく違ってくる可能性があります。
大人は自分でお金を捻出しているので、その元をとるために真面目に治療をします。ぴいこママも治療にはそれなりのお金を支払っているので、絶対にきれいになるまで着用時間は守るし、保定も半永久的にする覚悟です。
しかし子どもが治療を行うのに親がお金を出した場合、マウスピースの着用時間を守らなかったところで、子どもは痛くも痒くもないわけです。だからついサボってしまう。
…というのは実際にマウスピース矯正の相談のときに、いくつかのクリニックで聞いた実話です。学生さんで親が治療費を支払っているケースは、なかなかうまくいかないんだとか。
もし子どもが治療を望むのであれば、全額とは言わないまでも、いくらか子どもにもお金を支払ってもらうなど工夫することをオススメします。
なお、これはブラケット矯正治療が終わったあとの保定期間も同じことが言えるかなと。
ぴいこも治療が終わったらマウスピースで保定するのですが、後戻りしないようにマウスピースを着用するよう、治療中の今から口酸っぱく言ってます…おやつタイムも無しだよと。笑
治療から保定まで、ほんとうに矯正って長期間ですよね…。
子どものマウスピース矯正まとめ
個人的には、自己管理のできない小さいお子さんの場合、マウスピース矯正は大変ではないかなという印象です。
そしてまだ未開拓の分野という意味もあり、大人になって自己責任でやるのはいいけど、子どもにはやっぱりちょっと不安が残るかな。
もしお子さんでマウスピース矯正をやっている方がいれば、ぜひその状況を教えてください〜